少ないかも知れないけどそういう子どももいる

四半世紀東京に暮らしたあと故郷に帰った

小さい町なので同窓だ同級生だったという人に当然出会うことがある

その顔に覚えはあるものの果たしてそうだったか正直記憶はおぼつかない

そういう私に怪訝な顔をする人も当然いるし構わず普通に挨拶する人もいる

そのたび私の心は沈む

どうしていいか解らないいつの日か話せる日があるだろうか

表向きはごくごく普通に小学生だったし中学高校と進んだ

けど内面はいつも宙を泳いでいた

彷徨っていたという方が正確かしらん

自分が体験したことはどういうことなんだろうどういう意味をなすのだろう

いつも心を占めていた消える日はなかった

体験したことしかも説明しようもない深奥での体験は誰とも共有できるものではなかった経験も浅くボキャブラリーの乏しい子どもにとっては独り秘めるよりなかった

少ないかもしれないけどそういう子どももいる