沼底駅に降り立って

自分の中の泥ドロを見ずして真の自分には出会えない

長年蓋をしてきたのでそこから出てくる悪臭たるや想像を絶する

いやその前に鬼が出てくるか蛇が出てくるか

恐怖で脚がすくみとても踏み込む気になれない

何度も何度も回避したあげくもうこれ以上逃げ切ることはできないと

ようやっと足を踏み入れた

 

私にとってこれほどに恐怖を感じたことは自分の人生でそれまでなかったこと

耐えられなくなったら止め再びその時がきたら挑戦する

ということを繰り返すうち観えてくるものがあった

 

般若の面が鬼の形相なのに般若(悟り)と呼ばれるその意味を

なんだか分かったような気がしたのだ

闇を除く時の私の顔が鬼そのものだったから

そして己の闇の中に何かを観た

屍累々の己の闇の中に新しい命を観た

 

”マリアは墓を覗いた”聖書は言う