いつの日か

そぼろ降る雨が物足りなさを呼び起こす 小さな温もりがない その寂しさをなんとはない日常の会話で埋めていてくれた妹も病であっという間に逝った 震災で家族全員を無くした男性が「気力がわかない」と取材に応じていたのを思い出した 母も兄もいる私ですらそうなんだからそりゃそうよね 日に何度もワンコと妹の名が交互に口をついて出てくる 私にとって目に見えるものとそうでないものとの差はあまりないと思っていた けど温もりがないのは生身の人間には辛い 妹には夫も息子も娘もいるから私がそうしゃしゃり出ることはない でもワンコには私しかいないだから私だけはずっと思っていたい 思っていればのの子は私の中で生き続ける ただそのたった一人の身内の私が十分愛してやれなかったことが悔いとして残ってる 忙しさにかまけて十分構ってやれなかった だけどある日思った私があの子にではなくあの子が私のためにやってきたのだと あの子は私に私の未熟さを愛の薄さを教えに来てくれたのだと そのことを私に教えるためにやってきてくれたのだと 早くそっちに行きたいと思った時期もあったけど私があなたを思うときあなたは私の中で私と共に生きる その日は確実にくるその時は心ゆくまで抱きしめたい