自身ほど謎の存在はない
自分という存在のいかに謎に満ちていることか
自分ほど謎な存在はないと思います
一人の人間は無数の他人を含んだ存在だから
若かったとき演劇って何だろうと考えたことがあります
ウソっぽいよね
少なくとも真実ではないよねって
ある日他者のクセを真似てあることに気づきました
脳内での真似でしたがなんとなくその方の思いに
触れたような気がしたのです
このちょっとしたことがきっかけで
例え脳内であろうと他者のクセを真似たなら他者の
少なくともその時点での心境が少し理解できると
演劇ってそういうことかなって役者は
幾つもの他者を真似ることによって他者と共に生き
そのことに思い至るのではないかしらん
演劇をとりあげるまでもなく私たちは
つねにこの演劇状態ではないかしらんと
身近な人々はおろかすれ違っただけの人映画の中の人
私と他者違う肉体に宿っているというだけ
それ以外どこも切り離すことはできない
私たちを取り巻いてるすべてとも切り離すなんてこと
私たちは
無数の他者の集まり
他者はこの私を成している、と
内なる他者をすべて抱きとめるとき
そのすべてを観てる存在を
あるとき己の中に私たちは観るのです