無かったことにして
無かったことにして
私は崩壊した
少しずつ少しずつ
崩壊した
子どものとき不思議な世界をみた
でもそれは言ってはいけないこと
子どもごころに本能的にそう思った
それで誰にも言わなかった
私が観た世界をだれも知らない
ということにも気づいた
小さなこどもにとってこれは
とても恐ろしいことだった
だれでもいいだれか一人でも
「そうだよ」って言ってくれる人を
求めあがきもがいた
その人に出会ったのは20年も後のこと
そして知ったのは誰でもない自分さえ
受け入れてあげれば道は開けるということ
崩壊したのはまさしく己の不信ゆえだったと
何が起きようとも自分さえ受け入れれば
不思議なことでも
良いことでも
悪いことでも
無かったことにさえしなければ