浦島太郎は私だった1

 
開けてはならないと言われた
玉手箱を私は開けてしまった
 
食べてはならないと言われた
りんごを私は食べてしまった
 
生命があふれ光に満ちた世界
ほんとうにあったのだろうか
 
「そうだよ」が得られなくて
己を疑い思いあぐねのたうち
 
 
十代にして私は老いさらばえ
己の力で立てなくなっていた